
茨城から世界へ! ≪ume cafe WAON≫ 梅の可能性を広げ、人と人とをつなぐ場所
茨城県中部の太平洋岸にある、大洗町。
ほんのりと磯の香りが漂う街並みには、パンフレットを片手に観光客が歩いている。
旅館や大衆食堂が並ぶなかに、ひっそりと建っているのが、
天保元年創業の漬物販売店「吉田屋」が運営している、日本初の梅専門カフェ「ume cafe WAON」だ。
まず店内に入って見えるのが、カウンターに並ぶビンに入った9種類の梅干し。
酸っぱいものから甘いものまで、自分好みの味の梅干しを選んで、おにぎり・お茶漬けで食べることができる。
私が頂いたのは観梅期間限定メニューの「梅ランチプレート」
梅型のごはんにのった梅干しの他にも、梅酢につけこんだ鶏のからあげ、厚揚げの梅肉添え、涸沼のしじみ汁など、地元食材と梅をコラボレーションさせたメニュー構成だ。
その他にも梅ジャムと梅ゼリーを使用したロールケーキなど、梅を使用した斬新なメニューが多い。
メニューの企画・考案は社長自らが行い、奥様が調理や盛り付けを考案しているという。
その斬新なアイデアは、いったいどこからくるのだろうか?
八代目であり、社長の大山壮郎さんにお話を聞かせて頂いた。
「アイデアは、人との出会いから生まれています」
もともとお店を出すきっかけになったのが、「常陸乃梅シロップ pure sweet」という商品。
茨城県の観光名所の一つである、偕楽園は梅の名所でも知られ、梅干しだけでなく、梅にちなんだ製品も多い。
しかし、その原料の梅のほとんどが茨城県産ではなかった。
茨城の梅農家のほとんどは、青梅だけを出荷しており、完熟した梅はそのまま落果させているからだ。
そんな中で大山さんが出会ったのが、真っ赤な色が特徴的な「露茜(つゆあかね)」という新品種を作っている農家の方。
珍しい品種の使い道がわからずにいるという話から、その発色を生かせないかというアイデアがひらめき、「梅シロップ」が生まれた。
「梅というと『すっぱい』『しょっぱい』というイメージを持つ人が多いですが、もっともっと可能性がある。
梅の可能性を広げる商品を作り、そこに人々が集まる。そしておいしい梅を買って帰れるような場所を提供したいんです。」
そうした大山さんの熱い想いと、地元の方々の想いが重なって、「ume cafe WAON」が誕生した。
店内では食事を食べられるだけではなく、商品を購入することもでき、人気の商品は「スイート梅」。
完全個包装タイプの梅干しで、一つ一つ手作業で包装している。
「今の時代、たくさん入った梅干しを、皆でおすそ分けするシーンはなかなかない。
友達との集まりなどで持っていくのも、大体お菓子が多い。
そういった中で、梅干しの可能性を広げるために、手土産としておすそ分けしやすいように個包装で、
スイーツ感覚で食べられるような甘い梅干しは作れないか?と思い、この商品を作りました。」
最後に、社長に今後のビジョンについて伺ってみた。
「ベトナムなどをはじめとした、海外展開を準備中です。
今ベトナムの若者には、空前のミルクティーブームで、ミルクティーにいちごシロップなどを入れて、
フレーバーをつけているのがトレンド。その中で『梅シロップ』を生かせないかと企画中です。」
「まだまだやりたいことは尽きません。」
店名の「WAON」は吉田屋の梅と茨城の食材、そして人が一緒になって「和音」を奏でる、といった意味が込められている。
この「和音」が、茨城から世界へ広まっていくのが楽しみだ。
定休日:水曜日(臨時休業あり)
営業時間:10:00-18:00(L.O. 17:00)
住所:〒311-1301 茨城県東茨城郡大洗町磯浜町624
TEL:029-229-1223