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山村文化とアートの「共生」の旅 ~中之条ビエンナーレ2017~

「中之条ビエンナーレ」は、群馬県の中之条町で2年に一度開催される現代美術の国際芸術祭です。

このイベントは2007年にスタートし、6回目を迎える今年は20の国と地域、162組の国内外アーティストが
参加し、9月9日から10月9日までの31日間開催されました。

中之条町の「中之条伊勢町」「伊参(いさま)」「名久田(なくた)」「四万温泉」「沢渡暮坂」
「六合(くに)」の6つのエリアにある古い木造校舎や今は使われなくなった酒造工場、農家など、
51か所を各作品の展示会場として使用した当イベント。

開催期間中にはワークショップやアーティストトーク、演劇などのパフォーマンスも行われ、
またアート鑑賞の合間に立ち寄れるカフェなども用意してありました。

内外の参加アーティストがこの町に長期滞在しながら展示している作品の制作活動を行っていたそうで、
そうしたアーティストの思いを込めた作品をいくつかご紹介したいと思います。

これは中之条伊勢町エリアにある「旧廣盛酒造」会場にあった、ユカオオタニさんの作品、「Anicca」。
この会場は64年前に作られた古い酒蔵ですが、この作品はその2階に上がった暗い部屋の中にありました。

「飴」で作った仏像のインスタレーションです。
真っ暗闇の中に何体もの小さな仏像が整然と並び、小さな電球で照らされて怪しげに光る姿が神秘的な作品。

暗闇に目が慣れ、作品にそっと近づき、像を一体一体じっくり見てみると、電球の熱によるものなのか、
それは溶けて不規則に形が崩れてるものとそうでないものそれぞれに異なる形に変化していました。

時間か経つと、それぞれがそれぞれに、さらに形が変わり続けるこの作品は
「時間」の流れも感じることのできる、動きのある作品であると感じました。

次は、中之条伊参エリアの「伊参スタジオ」にある、浅見俊哉さんの作品「Shadow of lives [-2017]」。

これはフォトグラムという、カメラを用いずに写真を制作する方法での作品で、作品名は「現在の青図2017」。

感光液を塗った布を地面に広げ、その上に「中之条町 歴史と民俗の博物館 ミュゼ」にある、
中之条で発掘された縄文土器や埴輪、かつてこの町で盛んであった養蚕で使用する道具類、
また広島市の原爆爆心地の近くに生息するユーカリの葉、そして東日本大震災の津波で
被害を受けた閖上地区に残された遺失物など、過去から現在までの「人々の暮らし」に
関係するモノをまるく並べて置き、日光写真を作るように焼き付けた作品です。

深い藍色がとても印象に残る、きれいな作品でした。

太古から今日まで続く人間の生活の痕跡と連関を表現できたというこの作品、これを見た人が
こうした生活用品の影を見ることで、今はない太古の暮らしを想像したり、閖上に住んでいた人の
生活を想像したりすることが出来たらいいと作家の浅見さんは願っているそうです。

同じく「伊参スタジオ」にある、渡辺 俊介さんの作品「この音の聴こえないどこか遠くへ」。

薄暗く広い体育館の中に複数台点在する、学校に置き残されて使われなくなった
古い足踏みオルガンがいっせいに鳴り響きつづける作品です。

オルガンの背後に大きく描かれた山並みの絵を眺めつつ、大きく鳴り響くオルガンの音に包まれていると、
いつかどこかでこの体験をしたことがあるような錯覚というか、不思議な”既視感”を覚えました。

また、鳴り響くオルガンの音が一斉に鳴り止み、静寂さが広がる瞬間が訪れます。
音が止んだあとも身体の中にオルガンの音が鳴り響き続ける「余韻」に包まれている感覚になる、
実に不思議な作品でした。

他にもいろいろな作品が各所で展示されていましたが、人気イベントであるということが納得の芸術祭でした。


お土産に買った変わりだるま「あっかんべーだる」。公式ショップには
こうしたアーティストのオリジナルグッズや小作品が販売されていました。

■中之条ビエンナーレ実行委員会事務局(総合案内イマサムラ)
住所/群馬県吾妻郡中之条町大字五反田3534-4
TEL/0279-75-3320
2017年12月15日 | ライター:竹内仁 | 場所:群馬県 | カテゴリー:イベント・祭 

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