
県内有数のパワースポットで日本古来の信仰に触れる~大洞赤城神社
赤城山頂の大沼のほとりにある、赤城神社。
県内のパワースポットとして知られているが、
そもそもなぜ山頂にあるのか、不思議に思ったことはないだろうか?
また群馬県内に赤城神社はいくつもある。
赤城山の神社から各地に広まっていったのだろうか?
群馬の歴史に疎い筆者は、そんな疑問を解消したくてお伺いさせて頂きました。
駐車場に車を止めて、境内に入ると、鮮やかな朱色が目に入る。
本殿も社務所も朱色で荘厳な雰囲気だ。
宮司の塩原さんが出迎えてくれ、赤城神社の成り立ちについて話してくれた。
「赤城神社のご神体は赤城山なんですね。
山岳信仰といって、最も古い信仰のひとつで、原始信仰とも呼ばれています。
縄文時代もしくは弥生時代には、信仰されていたとされています。
弥生時代には農耕が広まり、山そのものに加え、水に対する信仰が加わったと考えられます。
水は山から里に流れ、米作り、何より生きて行くために必要ですから、水、湖も山岳信仰の重要な一部なのです。」
ご神体は赤城山。
山であり、木であり、岩であり、湖であり、赤城山の全てがご神体というわけですね。
日本の神社そのものの成り立ちについても教えて頂いた。
「当初は神社という建物はありません。神様は空の上に住まわれ、地上に一番近いところ、山に降りて来られると信じられていました。
海のかなたの島や山などの神聖な地に住んでいたのです。
お祭りの度に、人々の住む里にお招きし、祭りが終わると再び神様の住む聖地にお送りしたのです。
農耕が盛んになると、豊作を願い、そして、感謝のお祭りを行います。祭典が多くなるにつれて、次第にお祭りをする場所が特定されるようになります。この祭場が後に『神社』に発展して行きます。
すると、神様の住む山頂の神社『山宮』と集落の神社『里宮』の関係が出来ます。集落の安全を護っていただくために、里宮にお祀りしたのです。
この頃、神様が季節により、山と里、『山宮』と『里宮』を往来するという信仰が生まれます。
生活に不可欠な水を供給して戴くために、山宮の存在も欠かせません。
春と秋に神様が往き来するという信仰が、『春祭り』と『秋祭り』のはじめとも云われています。」
神社がなぜ日本にあるのか、考えたこともなかったし、
ルーツが縄文や弥生の時代にまで遡るとは思いもしなかった・・・
神様が移動する、だから里に呼んでお供えものをする。
すごく日本らしい信仰だな、と感じたのは筆者だけだろうか。
赤城神社の本社は?という疑問に対しても、これは勘違いされている方も多いんですが、と前置きした上で教えてくれた。
「すべての神社が、一つの本社から分かれたという訳ではありません。
日本のお寺の場合ですと、本山があり、そこから分かれて分院が造られます。
しかし、赤城神社のような山岳信仰の場合、その信仰変遷過程からも、お解りいただけるように「本社」は存在しません。
自然崇拝の信仰がまず生まれ、神社という建物は後から造られたのです。
本社から神様を分けて神社が造られたのではなく、神様が先で建物が後なのです。」
ご神体自体が山なので、あらゆるところに赤城山への信仰が発生し後に赤城神社へ・・・
群馬県内で赤城神社が多いのは山が見えるところが多いからだそうだ。
いろんな神様がいるのも日本の信仰の特徴だと宮司さんは語る。
「一神教だと他の宗教が入ってくると、どうしても排除しようという動きになります。
日本のような多神教だと、いろんな神様がいる。だから外国から例えば仏教が入ってきても共存できるんですね。
外国の方で日本人は信仰がない、という方もいらっしゃいますが、これが日本の信仰の文化なんですね。」
そういえば、日本人はお寺でも神社でも同じように拝むし、クリスマスも楽しむ。
七福神も元は中国の神様と聞いたことがある。
いろいろな神様を祀ることのできる日本人。
日本人の和の精神はこんなところにも表れているんですね。
赤城山頂にある赤城神社は、昭和45年に現在の場所に遷宮されたそうだが、以前は大洞にあり、806年(大同元年)に建てられたという。
勿論、それ以前から信仰されていたものだ。古くから信仰されていた神社らしく、貴重な資料がたくさん保管されている。
その中の鏡を特別にみせて頂いた。
江戸時代のものが一番多いそうだが、古墳時代、奈良・平安・鎌倉・室町時代のものや中国から渡ってきたものなど、古いものは二千年以上前のものもあるそうだ。
ずらっとならんだ鏡を見ていると、なにかこうパワーを感じるというか、神聖な気分になりました。
住所/〒371-0101 群馬県前橋市富士見町赤城山 4-2
TEL/027-287-8202
公式HP/ http://akagijinja.jp/
※2012年10月8日(祝) 秋祭り
郷土芸能・武者行列・流鏑馬・居合抜刀術・古武術森重琉砲術が行われます。
詳細は公式HPをご確認下さい。