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簗(やな)。3世代で楽しむ群馬のよき夏。

簗(やな)という言葉をご存知だろうか?

簗とは、古事記にも登場する川の伝統漁法で、
川の流れの一部を引き込み、仕掛けに上がってきた魚を捕える漁法。
その近くに建てたあずまやで鮎(あゆ)料理を出す観光簗が、
日本全国の山間部を中心に、数十軒ほど残っている。

鮎の季節は、夏だけ。
群馬で生まれ育った私は、毎年、夏になると家族で簗に行くのが楽しみだった。

今回、私が訪れた簗は、群馬県渋川市の利根川沿いで営む落合簗。
ここ数年、地元民からの評判がいい簗だ。

うだるように暑い前橋から車で三十分ほど。涼風を感じる山あい。
落合簗と書かれた、たくさんの旗が並び、
川のほとりではあるが海の家のような雰囲気のあずまやがある。

中に入ると、鮎の炭火焼が香り、食欲をそそる。
店内は人でにぎわい、おじいちゃん、おばあちゃんから孫まで、
3世代で来ているお客さんの姿が目立つ。

注文してから、焼きあがるまでに時間がかかる鮎を待つ間、
子供たちは川っぺりに降りて遊び、
大人たちは、自然の景色や、遊ぶ子供たちを眺めながら、先に一杯。
そして出てくる鮎料理をいただく。

うまい。

3世代で来ているお客さんが多いのは、
この群馬らしい夏の景色を、孫たちに伝えたい思いの表れなのだろう。

 

そんな落合簗だが、十年ほど前、美しい夏の景色を失ってしまった時期があった。
当時の経営者が本業で失敗されたため、簗を閉めざるをえなくなってしまったのだ。

荒れ果てていく群馬のよき夏。

誰かが復活させてくれたら。そんな思いを持つ人は数知れず。
しかし、願うことはできても、実際にやるとなれば、誰もが二の足を踏むだろう。

閉鎖から3年。落合簗は突然、営業を再開した。
事情はよく分からないが、復活は嬉しい。群馬のよき夏が帰ってきた。

再開した落合簗は、閉鎖前以上の人でにぎわい、再び多くの人の思い出を作っていった。

 

10年ほど前、55歳で脱サラし、全てをかけて群馬の夏の景色を取り戻そうとした方がいた。
草ぼうぼうの荒れ果てたあずまやを修繕し、散り散りになった職人たちを再び集め、
家族で慣れない接客を始めた。

「当時は、自分が客として来ていた時の簗という景色が、もったいないという想いが強かったのかな。
今は、川の音を聞いて、山を眺めて、家族や、いい仲間と一緒に仕事ができて、
お客さんがうまいって言ってくれる顔が見られて、それが幸せでやってますよ。」

オーナーの黒岩基次さんのお話を聞き、またひとつ、群馬が好きになった。

私も頑張ろう。

ごちそうさまでした。またきます。

■落合簗
住所/群馬県渋川市北橘町八崎272-2
TEL/0279-22-1878
TEL/0279-25-1537(オフシーズン)
期間/例年6月下旬~9月下旬
時間/11:00-19:30(期間中無休・通し営業)
http://www.ochiaiyana.com
2012年08月08日 | ライター:小野里 彰展 | 場所:| カテゴリー:遊ぶ  

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