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ホンモノに出逢える隠れ家フレンチ■フランス厨房 コクレドール■

一流店の技術を群馬で堪能

1年半ほど前にいつも通る道路沿いに、フランス国旗を掲げた小さなお店がオープンした。
高崎駅から近く、車通りも多い道沿いで非常に気になる存在だったが、調べてみようにもメディアへの露出がほとんどない。
なかなか訪問するきっかけがつかめずにいたが、ついに先日、美味しいもの好きの友人からのお誘いで訪問する機会に恵まれた。

一人でも気軽に寄れる表通りの隠れ家

「コクレドール」は東京やフランスの一流店で修業を積んだ青木シェフが1人で切り盛りするフレンチレストランだ。
テーブル2席とオープンカウンター5席というこじんまりした店内。堅苦しい雰囲気は一切ないが、出される料理はどれも一流だ。
それも青木シェフの経歴を聞けば納得がいく。彼は東京・代官山の「マダム・トキ」やフランス・リヨンの2つ星レストラン「ピエール・オルシ」などで伝統的なフランス料理を本格的に学んだ。
本格フレンチの基礎という土台の上に、自分色を重ねて磨きこんだのはフランスから帰国後に勤めた結婚式場だったという。全国に60店舗近くを展開する大手企業で、各会場に何人ものシェフがいる。
それまでの職場は師匠から技を盗むという立場だったが、ここでは同僚、仲間と刺激を分け合った。「メニューは決まっているけどマニュアルはないんです。だから各会場で
同じものを出しても味が違う。この料理はどんな風に作っているとか、こんな技法もあるとか、同じ料理を作っても人によってこんなに違うのかって、色々な刺激を受けられてとても面白かったですね」

素材の旨味をすべて味わえる具だくさんのスープ

クチコミで人気の実力店

ミシュラン掲載店や結婚式場など、青木シェフの経歴は実に華々しいが、彼が本当にやりたかったのは「フランス郷土料理や家庭料理を気軽に楽しめる」というスタイルの店だった。
様々な体験を通じて自分流のスタイルを確立し、高崎に自分のお店を出したのが1年半前。「通りには面しているんだけど、隠れ家的なお店でありたいんです」だから敢えて宣伝はしていない。
だが、噂が噂を呼び、ランチは連日満席状態だという。前菜からデザートまで美しく盛られた料理に目と舌を奪れる。今まで食べたことのない料理にも出会え、楽しく贅沢な時間が過ごせる。
「ありがたいですね。うちの料理を召し上がっていただいて”美味しい”と笑顔になっていただけること、”新しい味”との出会いを楽しんでいただけたら
本当に嬉しいですね」
ホンモノを知る青木シェフの食材へのこだわりは強い。野菜や果物はほとんどが群馬県産のもの、魚貝類は北海道から朝獲れの旬の素材が空輸されてくる。そしてお肉は都内の一流レストランが顧客に名を連ねる一流の肉屋から仕入れている。コクレドールの人気メニューの1つであるジャージー牛のステーキは、柔らかくジューシーで優しい味わいだ。ジャージー牛は実は国内でもかなり流通の少ない希少な肉なのだ。
通常メニューも十分に魅力的なのだが、どうしても気になるのが「本日のおススメメニュー」として黒板にズラリと並ぶジビエの数々。「ジビエ」とは、フランス語で狩猟で捕獲した野生の鳥獣肉のこと。最近は国内でも目にする機会が
多くなってきてはいるが、高崎市内でここまでジビエの種類が充実しているお店は珍しい。

ある日のオススメメニュー。北海道から届く魚介類は食材が届くまで中身が何わからない。

柔らかく優しい味わいのジャージー牛

ジビエ初心者の筆者が挑戦
フランス本土では昔は限られた富裕層しか口にできなかった高級料理だったが、いまでは季節になるとジビエはマルシェに並び、家庭料理としてテーブルに並ぶ。
「ジビエ」=クセが強いとか臭いといった印象を持っている人も多いと思う。「そうおっしゃって敬遠する方、多いんですよ。でも美味しいジビエ料理を食べていただければ、きっとその概念は覆ります」
と青木シェフは力強く語る。実はまさしく私がその苦手意識を持っていたうちの一人。だが、シェフの言葉に好奇心が湧き上がり、この取材の日に初めてコガモをいただいた。敢えて内臓を使ったソースをリクエストし、
自らのハードルを上げてみたが、拍子抜けするくらい臭味もクセもない。むしろ旨味を凝縮して引き締まった肉は濃い目のソースと絶妙にマッチし、思わず「こんなに食べやすくて美味しいものだったんですね!!」と
感嘆の声をあげてしまった。青木シェフの言葉通り、私の中のジビエに対する偏った概念が覆った瞬間だった。

弾力のある歯ごたえと滋味に富むコガモ。お酒がすすむ。 

ジビエ初心者にぜひトライしてもらいたいのが、「夏のエゾジカ」だという。「ジビエは餌によって味がかなり変わるんです。一番食べやすいのは夏のエゾジカ。シカは秋から冬にかけては乾いた木の皮
なんかを食べていますが、春から夏にかけては柔らかい草を食べるんですね。だからお肉自体がアッサリしていて優しい味なんです!羊より食べやすいし、牛のような臭味もないんですよ」
事実、ジビエ初心者からも「食べやすい」という声が返ってくることが多い。
「逆にジビエ好きの方には少し物足りないかも!そういう方には野ウサギとかエゾライチョウ、ジビエの王様的なランクにあるヤマシギをおススメします。
内臓を使った重めの力強いソースはワインに良く合いますからね」
自然界で生き、天然のものを食べて育った鳥獣の肉は、家畜と比べて栄養価も非常に高く、脂肪分も少ない。
近年、野生鳥獣の増加による農作物被害が社会問題になっている日本において、駆除した鳥獣をジビエ料理として楽しむのは、前向きな対策といってよいだろう。
ただ狩猟方法や処理の仕方、時期や保存方法などによって味が大きく変わる野生の肉は取扱いが非常に難しい。料理界に入った当初からジビエ料理を扱ってきた青木シェフ。ジビエを熟知した料理人はこれからの展望をこう語る。
「最近ジビエは食育にも取り入れられるようになってきてますよね。ここ群馬で少しでもジビエの普及に貢献できたらいいな、と思ってます」

青木シェフの料理に対する情熱は熱い!!

オープンキッチンのカウンターで青木シェフの手さばきを眺めながら、彼の食に対する熱い想いを聞きながらいただくフレンチは本当に愉しい。ジビエ好きな方もそうでない方も一度ぜひ訪れてみてもらいたい。
この小さな隠れ家には、まだ出逢ったことのない食の可能性がたくさん詰まっている。

■フランス厨房 コクレドール
住所/群馬県高崎市芝塚町1900-11
TEL/027-388-8296
2018年05月23日 | ライター:高橋みずき | 場所:| カテゴリー:  

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