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前橋のまちなかで、気軽に本や文学が楽しめる場所を。ブックバー「月に開く」

前橋のまちなかは弁天通り商店街の一角に、ブックバー「月に開く」がオープンした。前橋市出身の詩人である、萩原朔太郎の作品にちなんで名付けられたこのバー。なんでも、新宿にある文壇バー「月に吠える」の姉妹店で、コンセプトもズバリ「本を楽しんでもらう」なのだとか。前橋在住で、仕事帰りや週末に通えるお洒落なバーを探していた筆者は、すぐに店へと向かった。

ブックバー 月に開くの看板

白い外壁が特徴的な店内へ入ると、壁一面に様々なジャンルの本が並んでおり、店内のカウンターやテーブル席で自由に読むことが出来るようになっていた。ここならお客さんが、一人静かに読書をしながらお酒を飲んだり、誰かと好きな本の良さを語り合ったり出来そうで、まさに”本を肴に思い思いの時間を過ごす”にはぴったりの場所だと思った。

人気メニューの梅サワー

ではなぜ、こんな素敵なお店が前橋にオープンしたのだろうか。オーナーの肥沼和之さんに経緯を聞いてみた。 

朔太郎に魅了されたジャーナリスト。新宿、そして前橋にバーを作る

肥沼さん「朔太郎の好きな所は、暗い中にも美しさや儚さがあるところ。色々なものが同居していて奥深い」

もともと本が好きで、自身もノンフィクション・ジャーナリストとして活動する肥沼さん。仕事以外でも、お酒を飲みながら色々な人と会話できる場所を作りたいと思い、新宿のゴールデン街に2012年、日本一敷居の低い文壇バー「月に吠える」をオープンした。店名は自身が最も好きな詩人の一人、萩原朔太郎の『月に吠える』から。やがて、店はライター仲間や出版関係者が集まる場所となり、読書会や歌会、「月に吠える文学賞」といった様々なイベントも行われるようになっていった。そんなある日、「好きだからといって、勝手に『月に吠える』の名前を使っていいのか?」と疑問に思った肥沼さんは、前橋文学館の館長であり、朔太郎の孫でもある萩原朔美さんに、お詫びの手紙を出すことに。そのことがきっかけで、朔美さんとの交流が始まったのだという。「手紙を出してすぐ後、朔美さんがお店に来られて、全然使って良いんだよと笑い飛ばして下さったんです。それからは朔美さんに会いに、文学館や前橋をたびたび訪れるようになりました。」

月に開くがある、前橋弁天通り商店街

しかし行けば行くほど、前橋のまちなかに活気がないことに気づく肥沼さん。「広瀬川沿いの景色も綺麗だし、行ってみると良いお店も多いのに、歩いている人が少なくてもったいないなと感じて。何か貢献できないかと考えているうちに、ブックバーの構想が浮かんだんです。前橋は詩や文学のまちではあるんですけど、本当に好きな人しか集まれる場所がない。そういったことに興味のある人が気軽に行けるような、もう少し敷居が低い場所があればと思いました。」

始めは、自分が店を出すと他店と競合になってしまうかもしれないと悩んだそうだが、「たくさんお店があった方がまちが華やかになって良い」と、地元の人たちが背中を押してくれたことが決め手になり、開店を決意したという。すると、前橋文学館にも近いこの場所がすぐに見つかり、2018年5月11日(朔太郎の命日)、無事プレオープンに至った。

朔太郎の命日である5月11日、プレオープンイベントを行った。

前橋の人がまちへ出るきっかけ、新しさに出会う場所になれば良い。

地元のライターを招いて行ったトークイベントの様子

オープンして1ヶ月半。反応を聞くと、「お客さんは若い人が中心になると思っていたけど、実際は高校生から年配の方まで、幅広い層の人が来てくれています。過ごし方は本を手にとって勉強をしたり、カウンターでお酒を飲みながらわいわい話をしたり、本当に人それぞれですね」と、早くも憩いの場になっているようだ。店内に400冊ほどある本も、肥沼さんのものはごく一部。ほとんどはまちの人に寄付してもらったものだそう。実は筆者もこの日、本棚の蔵書を2冊寄付してきた。店に来た誰かが読んでくれるかもしれないと思うと、不思議とわくわくする。

今後は、新宿ゴールデン街でも開催している読書会や歌会、小説講座など、気軽に本や文学と触れ合えるイベントを開催し、より多くの人が前橋のまちなかを訪れるきっかけを作っていきたいのだそう。そして、将来のお店像については「ここに来た人が新しい本や人に出会い、新しい世界を見つけていくような場所になれば嬉しいです」と話してくれた。普段とはちょっと気分を変えて、新しい本を手にとってみる。近くのバーへ出かけて、隣の人と会話をしてみる。新しい世界へ一歩踏み出すきっかけは、何気ない日常の先にあるのかもしれない。ブックバー「月に開く」は、そんなことを教えてくれる場所だった。

ブックバー 月に開く

201
営業日:木~月(定休日:火水)
営業時間:1522
https://www.facebook.com/tsukinihiraku/

■月に開く
住所/群馬県前橋市千代田町3丁目3-22
TEL/070-1483-4472
2018年07月04日 | ライター:遠藤千尋 | 場所:群馬県 | カテゴリー:歴史・文化  遊ぶ 飲食店 

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